1.はじめに
近年の交通事故死者数は年々減少傾向にありますが、その内訳を見ますと右図のように歩行者の死亡が4割で、その内7割が夜間に発生しています。
今後、交通死亡事故を減少させるには夜間の歩行者が遭う交通事故を減少させる必要があります。
夜間は自動車を運転するドライバーにとって視認性が悪くなります。そこで、歩行者が反射材を身につけ、視認性を高めることで交通事故を予防することが出来るのではないでしょうか。
2.夜間の交通事故の現状
平成23年の夜間の交通死亡事故の内訳を見ますと、右図のように半分が歩行中の事故で、そこに二輪・原付、自転車を加えると約7割を占めることになります。
また、時間別の歩行者の死者数を見ますと17:30~18:00がピークで19:30頃より急激に減少しますが、21:00を境に再び増加する傾向にあります。
つまり、会社や学校から帰宅する時間帯が最も事故が発生しやすいと言えるでしょう。季節別では夏季に対し、冬季はその1.7倍に増加します。
3.夜間の交通事故の現状
夜間における歩行中の交通事故の原因として考えられるのがやはり視認性の低下です。視認性の低下は歩行者の発見を遅らせ、困難にします。
このことから事故直前の回避行動が遅れたり、回避行動がとれない上に減速も出来ず、歩行者と自動車が衝突し、事故という痛ましい結果となるものと考えられます
4.夜間の交通事故を予防するために
夜間の交通事故は上述の通り、車を運転するドライバーや歩行者の視認性の低下です。ドライバーは視認性の低下を意識するとともに、周囲の環境に注意することが大事です。
一方、歩行者側では車のヘッドライトが見えているからといってドライバーから歩行者が見えているとは限らないことを意識し、ドライバーに対して自己の存在を積極的に知らせる必要があります。そのためには反射材を身に着ける事が最も有効的であると言えるでしょう。
平成21年に㈶全日本交通安全協会によって調査された結果を見ますと反射材の着用率は10.3%にすぎません。反射材の着用率を伸ばすことが交通死傷者を減少させることになると思われます。
(参考:「人と車」㈶全日本交通安全協会発行)
平成24年度京都府内の交通事故発生状況
発生件数 | 増減数 | 増減率 | 死者数 | 増減数 | 増減率 | 負傷者数 | 増減数 | 増減率 | |
京都府 | 12,374 | -1,713 | -12.2 | 106 | 3 | 2.9 | 15,092 | -1,973 | -11.6 |
警察庁発表の平成24年交通事故発生状況を見ますと、京都府では交通事故発生件数は23年に比べ12.2%の減少をしております。しかし、交通事故死者数は前年に比べ、残念ながら2.9%(全国ワースト16位)の増加という結果が出ております。
交通事故の50%~70%が夜間に発生しております。そのうち交通事故死者の90%近くは歩行者です。夜間の交通事故予防として、反射材を身に着ける事が自己の存在を早い時点で車を運転するドライバーに認識してもらい、交通事故から身を守ることが出来ると言えましょう。
「反射材 着けて安全 夜の道」
●間に合いますか?●
夜間走行時、ドライバーから歩行者が確認できる距離は…
速度60km/hで走行中の自動車が、歩行者に気がついて停止させるまでに44mの距離が必要です。
反射製品を身につけて、交通事故から身を守りましょう!
正常な視力の実験者を選んで視認性のテストをして次のことが確かめられております。
【製品の輝度と視認距離の関係表】
製品の輝度(mcd/lux) | 90mcd/lux | 200mcd/lux | 360mcd/lux | 1,440mcd/lux |
---|---|---|---|---|
視認距離(m) | 50m | 75m | 100m | 200m |
解説:400cd/lux/㎡の反射輝度性能を持った反射材を利用した30*30(mm)の反射キーホルダーは360mcd/luxの輝度があります。上記の表から100mの視認距離があることがわかります。 故に、より反射性能の高い反射材をより大きな面積で利用する事が効果的です。ちなみに、道路標識には400cd/lux/㎡の反射輝度を持ったシートが多く使用されています。
反射の種類は大きく分けて「再帰性反射」、「乱反射」、「鏡面反射」の3種類あります。日ごろ目にする道路標識や弊社の反射グッズに使用されている反射材、反射シートは全て再帰性反射です。
再帰性反射とは、下図のように入射光を反射して光の放たれた方向に向けて光を反射させる反射特性のことです。つまり、懐中電灯で反射シートに光を当てると懐中電灯を持っている自分の方向に光が反射して戻ってくるという事です。
例えば、反射グッズを自分の背中に着けて夜道を歩いている時、後方から来る車のライトの光が反射グッズに当たります。すると、その反射光が車を運転するドライバーの方向へ戻って行き、ドライバーに歩行者である自分の存在を認識してもらう事が出来ます。早い時点で歩行者である自分の存在をドライバーに確認してもらう事は夜の交通事故防止の有効な手段となるのです。
(住友スリーエム社 反射シートカタログ参考)